WOMEN'S PRE-FALL '22 COLLECTION - DOWNTOWN ELEGANCE - REALITY BITES

たまには、一歩下がって広い視野で物事を眺めてみるのもいいものです。忙しい日々を送るなかで、私たちはいつの間にか大きな目標を見失ってしまうことがあります。広い視野で全てを捉え直すことで、はじめて私たちはマクロな視点が見せてくれる細部に気づき、それらが構成する美しい風景を認識することができるのです。スタジオニコルソンによるPF22コレクションには、このような俯瞰を大切にする考え方が貫かれています。とてもゆっくりと時間をかけて、スタジオニコルソンを構成するたくさんの要素をそれぞれ分析しました。その結果、モジュラーワードローブの新たな地平が開けてきました。

ブランドの基礎を解体し、慎重に検証を重ねた結果、スタジオニコルソンで安定した人気を誇るアイテム達に、豊かな女性らしさがプラスされ、それらのアイテムが醸し出す姿勢を一新することに。今季は定番アイテムのシルエットが微妙にセンシュアルな変化を遂げていることが、見て取れるでしょう。例えば、縫製に目を向けてみれば、体の動きや呼吸をより快適にするために、最大限のゆとりをもってデザインされていることに気づくでしょう。

"This is an ode to effortless elegance - with floppier fabrics that swoosh and drape."

誰をも魅了する90年代グランジと90年代イタリアンディスコという、特異な組み合わせにインスパイアされた今コレクションは、全体のボリュームを1、2段階下げて、より大人っぽく、スレンダーなテイストに仕上げています。また、ヒップホップカルチャーの頂点(例えばWilli Smith (ウィリー・スミス)のレーベル、Willi Wearなどを思い浮かべてみてください)を想起させるアイテムも登場。80年代初頭の英国バンド「ジャパン」のDavid Sylvian (デーヴィッド・シルバン) を想起させるような、アンドロジナスでラグジュアリーなエレクトロの要素が表現されたアイテムも登場します。今季のコレクションの主役は、音楽文化そのものです。

同時に、私たちの身体も讃えられています。女性は、一瞬の肉体の輝きで自信をみなぎらせるもの。この輝きを可能にするのは、年齢を問わないスタジオニコルソンのセパレートのシステムで、ルールに縛られることなく組み合わせられるようにデザインされています。襟のボタンを外し、唇に赤ワイン色のリップをのせ、耳たぶと指はジュエリーで飾る。このスタイルは、まさに「エフォートレスなエレガンス」への賛歌であり、そのために、しなやかでドレープ性のあるファブリックがふんだんに使用されています。コットン・リヨセル混の素材はソフトでクールな感触で、繊細に肌に馴染みます。他にも、スポーツウェアにインスパイアされたウエストバンドやレッグカフスが登場し、世代を問わず24時間活発に活動できるよう、アクティブなエネルギーを導くデザインとして取り入れられています。

既存の主要なアイテムも新たな表現でイメージを一新しています。荒い質感の、魅惑的なBlack Grape のレーザーパーツは、カテゴリーに捉われないデザインとして登場。Nika PantとNate Shirt はトロピカルウールで仕立てあげられ、コレクション全体にシャープで真にモダンな印象を与えています。また、シンプルなワンピースのオプションとして、Hurn dress が登場。ツーピースを楽しみたいのであれば、今季は裾が窄められる Gia pantと Piero Shirt の組み合わせが最適です。これら全てのアイテムが、リネン、ビスコース、リヨセルの三素材の混紡で作られ、未来的な繊維の輝きを放っているのが特徴です。

Arve Pant のようなダブルフェイスのニットアイテムは、キックフレアのフレッシュな存在感でコレクションに新鮮な驚きをもたらし、ストラップ使いの Meno Dress は、魅惑的な態度を感じさせるアイテムとして登場します。今季の顔となっているSage Green、Inky Navy、Iceの3色の色彩は、スタジオニコルソンのファンにはたまらないカラーパレット。モジュラーワードローブに馴染みのない人にとっては、既存の感覚を破壊するような荒いカラーチョイスとなっていて、スタジオニコルソンのワードローブへの入門にふさわしい色使いです。破壊的で、ダイナミックで、同時に魅力的 - これがスタジオニコルソンの未来です。

LEANNE CLOUDSDALE IS THE STUDIO NICHOLSON EDITOR-AT-LARGE | PHOTOGRAPHY BY NIKKI MCCLARRON