Kinfolk Interview 2016年 2月号

 

メンズウェアにインスパイアされた、レディースウエアのラインを成功させたことで広く知られるニック・ウェイクマンは、ロンドンを拠点に活躍するファッションデザイナー。クリエイティビティとビジネスの程よいバランスを保ちながら、立ちはだかる挑戦に真っ向から挑み、新しい美の領域を日々開拓し続けています。

 

私たちの多くは、両親から瞳の色などの遺伝情報や(例えばカフェでのコーヒーの注文の仕方などの)日常的な仕草を受け継ぎますが、ファッションデザイナーのニック・ウェイクマンはそれらの表層的な特徴を超えて、両親それぞれのプロとしての技も受け継ぎました。ビジネスマンの父と仕立屋の母に育てられた彼女は、二人の職業的才能を昇華させながら成長しました。そして自らのブランドを立ち上げて軌道に乗せることに成功し、今日の国際的な名声を勝ち取ることになります。チェルシー・カレッジ・オブ・アーツでテキスタイルの学士号を取得したニックは、その後20年間に渡って、ディーゼルやマークス・アンド・スペンサーをはじめとする数多くの英国ブランドで技術を磨き、2010年に自身のブランド、スタジオニコルソンを立ち上げます。彼女が影響を受けているという、日本のデザインにまつわる話や、英国らしいユーモアのセンスで困難な状況を乗り切る話などについて、ウェイクマンに聞いた。

 

情熱的に日々取り組んでいることは?できれば、私たちを驚かせてください!

私はクリエイティブな人間でもあるので、実に不思議な話なのですが私は自分の右脳を使うのと同じくらい、ビジネスも好きだという事に、ある時気づいたんです。クリエイティブな領域での決断よりも、実はビジネス上の決断がより大きな変化を生むことが多い、という事実もあるのでしょう。ビジネスは様々な意味で厳しい分野ではありますが、ここでの立ち振る舞いこそが、ブランドの基盤を作るに当たってとても重要なのだと思います。

 

ブランドやあなた自身が経験してきた変化について、お聞かせください。

米国人小説家、ジョーン・ディディオンの言葉で「私は過去の自分の、その何人かとの関係を、いつしか断ってしまったの。」という有名な言葉がありますが、私も以前、ひどい完璧主義者でした。クリエイティブな面で、私は少し厳しいところがあるせいか、何年もの間、常に「正しいこと」を遂行することに気を取られていました。ただ、いつからか間違いを犯すことで、時に、思いがけず最高の結果が生まれることもあるという事実にも目を向けるようになりました。実のところ、これは考え方の問題ですよね。壁にぶち当たった時「これは単にうまくいかないのか、それともこれは自分が学ぶための試練なのか」と自問する必要がありますね。何の困難もない、順風満帆な人生を送ってきたのであれば、今の私はなかったでしょう。

 

ブリティッシュ・ファッションの特徴について、お考えをお聞かせください。

難しい質問ですね。今日のファッション・コミュニティーは国際的な広がりを見せていますし、これがこの業界の本来あるべき姿でもあると思います。私のビジネスも世界を股にかけるように、東と西に広がっています。約60もの卸先がある日本とのビジネスは、全体の実に3割を占め、私も15年ほど前から日本を訪れていて、日本の文化や建築、インテリアに多大な影響を受けています。ですので、日本の生活に関わるデザインと私が作るものには親和性があります。こうして日本から受けるインスピレーションは、私のコレクションの骨組みとなり、最終的には「究極のモジュラー・ワードローブ」となって完成するのです。ですので、スタジオニコルソンに強烈なブリティッシュ的要素を見出すことは難しいでしょう。素材はイタリアと日本から仕入れていますし、ものづくりもヨーロッパと日本の双方で広く行っています。とはいえ、私が英国的なユーモアのセンスを持ち合わせているのは抗えない事実でもあります。ダークで、シニカル。そして時に悪意に満ちることもあります。また、どんな些細なことにも笑いの要素を見出します。こんな風に過ごさなければ、その日を乗り切ることはできません。つまり、英国らしくなければ私らしくない、とも言えるでしょうね。

 

特にファッションの分野で、ジェンダーのあり方はどのように変わってきていると思いますか?

これは、とても興味深い質問ですね。私はかつてメンズのデザイナーをしていましたし、シャツやジャケットなど、メンズのアイテムを常に身に着けてきました。女性もののデニムを購入したことは過去に一度もありません。私の服が女性だけでなく男性にも好まれるということこそが、良いデザインの究極の証ではないか、と捉えています。

 

あなたの過去の経験は、今の仕事への向き合い方に影響していると思いますか?

母はとびきりの仕立て屋で、子供の頃の私の服は全て母が縫ってくれていました。母によると、私は小さい頃から何が欲しいのか−そして特に何が嫌なのか−常にはっきりと意思を伝えていたようです。他方で、ビジネスマンの父から私が受け継いだのはガッツ。父は毎週土曜日の朝11時に、欠かさず「諦めずに、続けなさい。」と言ってくれます。これは私が今まで受けてきた助言のなかでも、最もためになった類のものでしょう。

 

休みの時には、エネルギーチャージのために何かしますか?

8年間続けているのはヨガです。ヨガは活性化した私の脳を穏やかにしてくれて、体を本来あるべき姿に戻してくれます。私は良く午後4時からスタジオで、逆立ちをします。その日の血の巡りを反転させて、心臓に酸素を運ぶんです。こうして、副腎を活発化させます。

 

あなたは突発的に行動に移すタイプですか?それとも、考え込むタイプですか?

私は、良く考えるタイプです。考えて、考えて、考えて…11時間考え抜いたあたりで、突発的に行動に移します。

 

自信がない時にはどうしていますか?

いつかこの気持ちは過ぎ去ってくれるのだ、と自分に言い聞かせます。そうすることで、そんな気持ちは常にどこかへ飛んでいってくれますね。

 

ああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ